1. 事案の概要(事実経過・請求内容)
本件は、米国特許商標庁(USPTO)の特許審判審決部(PTAB)における当事者系レビュー(IPR2023-01350)の判断を不服として、控訴人(特許権者)であるRJ Technology LLCが、被控訴人であるApple Inc.を相手方とし、連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)に提起した不服申立控訴事件である。
手続きの途上において、控訴人RJ Technology LLCは、本件控訴が「ムート(訴えの利益の喪失・形骸化)」となったことを理由として、被控訴人の反対がない旨の控訴取下申立書(unopposed motion to dismiss as moot)を提出した。申立てにおいて、控訴人は訴訟費用について「各当事者が各自の費用を負担すること(with each party to bear its own costs)」を条件とする連邦控訴規則(FRAP)第42条(b)に基づく自主的取下げを求めた。
2. 判決の主文
1. 本控訴取下げの申立てを認め、本件控訴を却下(dismiss)する。
2. 訴訟費用は各自の自己負担(each party shall bear its own costs)とする。
3. 主な争点
- 争点1: 連邦控訴規則(FRAP)第42条(b)に基づく自主的控訴取下げ(Voluntary Dismissal)申立ての許容性および費用負担の決定
4. 裁判所の判断ロジック(判示の要旨)
裁判所は、控訴人から提出された「訴えの利益喪失を理由とする異議なき控訴取下申立書(unopposed motion to dismiss the appeal as moot)」を、連邦控訴規則(Federal Rules of Appellate Procedure)第42条(b)に規定する当事者の申立てによる自主的取下げ(voluntary dismissal)として解釈(construe)した。
被控訴人による異議が無く、かつ訴訟費用について「各自負担」とする旨の当事者側の申請条件が合致していることを確認した上で、裁判所は申立てを認め、本件控訴手続きを終了させるとともに、各当事者が自らの費用を負担することを命じた。
5. 実務上・判例上の法的なポイント
本決定は先例的価値を有しない命令(Nonprecedential Order)である。実務上のポイントは以下の通りである。
- FRAP 42(b)に基づく取下げ手続の実務運用: PTABの決定に対するCAFC不服控訴において、当事者間の和解、ライセンス契約の成立、あるいは別件訴訟での決定等により事件がムート(訴えの利益を喪失)となった場合、実務上は反対当事者の同意を得た上で(unopposed)、FRAP 42(b)に基づく自主的取下げの手続を執るのが定石である。
- 訴訟費用の取り決め(Costs Allocation): FRAP 42(b)に基づく自主的取下げを合意・申請する際、通常は費用の分担(本件のように各自負担=each party to bear its own costs)を明記して申立てを行うことで、訴訟コストを巡る追加の紛争を予防することができる。
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