【CAFC / 2026年09月11日】No. 2025-1596 - PTABの当事者系レビュー(IPR)決定に対する控訴審判決(連邦巡回区控訴裁判所規則36条に基づく原決定維持)

1. 事案の概要(事実経過・請求内容)

本件は、特許権者である控訴人(Appellant:Wipqtus, Inc.)が、被控訴人(Appellee:Samsung Electronics Co., Ltd.)により申立てられた米国特許商標庁(USPTO)特許審判部(PTAB)における当事者系レビュー(Inter Partes Review: IPR2024-00023)の終局処分(Final Written Decision等)を不服として、連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)に不服申立て(控訴)を行った事案である。

2. 判決の主文

PTABの原決定を維持する(AFFIRMED)。(Fed. Cir. R. 36適用)

3. 主な争点

  • 争点1: PTABにおける特許有効性/無効性判断の当否(IPR手続における対象特許クレームの特許性判断に関する事実認定および法的判断の適法性)
  • 争点2: 連邦巡回区控訴裁判所規則36条(Fed. Cir. R. 36)適用の妥当性(口頭弁論終結後、意見書を作成することなく略式に原決定を維持する要件の充足性)

4. 裁判所の判断ロジック(判示の要旨)

本判決は、裁判官合議体(Taranto、Hughes、Cunningham各巡回裁判事)による裁判所名義(Per Curiam)の決定であり、連邦巡回区控訴裁判所規則36条(Fed. Cir. R. 36)に基づき、詳細な判決理由(判例意見書)を付すことなく原決定を全面的に維持(Affirmed)した。

Rule 36に基づく判決は、以下の要件(判例としての価値を欠くこと、PTABの事実認定に実質的証拠[substantial evidence]が認められること、または裁量の逸脱・法的誤りが見出せないこと等)が満たされ、かつ詳細な意見書を作成する実益がないと判断された場合に発示される。本件においても、口頭審理(Oral Argument)を経た上で、PTABの原決定に破棄すべき瑕疵がないと判断された。

5. 実務上・判例上の法的なポイント

  • Rule 36 Affirmanceの法的性質と先例拘束性:本件は「Nonprecedential」(先例的価値なし)の指定を受けており、後訴に対する先例拘束力(stare decisis)は有しない。ただし、当事者間においては既判力・確定効を有する。
  • IPR控訴審における実務上の教訓:CAFCにおけるIPR審決の控訴では、PTABの事実認定に対しては「実質的証拠基準(substantial evidence standard)」という高度に裁量を尊重する審査基準が適用される。口頭審理においてPTABの法解釈誤りや実質的証拠の欠缺を論証できない場合、Rule 36による理由なしの棄却(Affirmance without opinion)が下される実務傾向が顕著である。
  • 上訴戦略(最高裁への裁量上訴):Rule 36による判決は判示事項(意見書)が存在しないため、連邦最高裁判所への裁量上訴(Petition for Writ of Certiorari)を申し立てる際、審理対象とすべき具体的な「法的解釈の不一致」を説得的に論証することが極めて困難となる点に実務上留意を要する。

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【CAFC / 2026年09月11日】No. 2025-1596 - PTABの当事者系レビュー(IPR)決定に対する控訴審判決(連邦巡回区控訴裁判所規則36条に基づく原決定維持)

1. 事案の概要(事実経過・請求内容) 本件は、特許権者である控訴人(Appellant:Wipqtus, Inc.)が、被控訴人(Appellee:Samsung Electronics Co., Ltd.)により申立てられた米国特許商標庁(USPTO)特許審判部(PTAB)...