1. 事案の概要(事実経過・請求内容)
本件は、米国特許商標庁(USPTO)の特許審判審査委員会(PTAB)が下した当事者系レビュー(IPR2024-01039)の決定に対し、Maxeon Solar PTE. Ltd.(以下「Maxeon」)およびCanadian Solar, Inc.(以下「Canadian Solar」)の双方から連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)へ控訴(クロス控訴)が提起されていた事案である(事件番号:2026-1500および2026-1525)。
控訴人であるMaxeonは、自身の提起した控訴( Appeal No. 2026-1500)について、相手方(Canadian Solar)の異議がない状態(unopposed)で任意取下げの申立て(motion to voluntarily dismiss)を行った。
2. 判決の主文
裁判所(Taranto巡回裁判官)は以下のとおり命令した。
- Maxeonの控訴任意取下げの申立てを認め、事件番号2026-1500および2026-1525の併合を解除(deconsolidate)する。
- 控訴事件2026-1500を却下(dismiss)し、訴訟費用は各自の負担(each party to bear its own costs)とする。
- 控訴事件2026-1525における控訴人(Canadian Solar)の控訴答弁書(Opening Brief)の提出期限は、本命令の登録日から60日以内とする。
- (事件2026-1500についてのみ、本命令の発行日である2026年7月21日をもって判決確定(Mandate)を発行する。)
3. 主な争点
- 争点1: クロス控訴における一方当事者からの反対なしの任意取下げ申立てに伴う併合解除(Deconsolidation)および控訴却下の可否
4. 裁判所の判断ロジック(判示の要旨)
裁判所は、Maxeonから提出された反対なしの任意取下げ申立てを検討した結果、以下のとおり手続上の決定を下した。
1. 併合解除および控訴却下: 相手方であるCanadian Solarの異議がないことから、連邦控訴手続規則(FRAP)等に基づき申立てを許可し、併合されていた2つの控訴事件(2026-1500および2026-1525)の併合関係を解消(deconsolidate)した上で、Maxeonの控訴(2026-1500)を却下した。
2. 費用の負担: 当事者間の合意に基づき、本件取下げに係る訴訟費用については各当事者が自ら負担(each party to bear its own costs)するものとした。
3. 残存控訴(2026-1525)の維持および日程再設定: Canadian Solarが提起した控訴(2026-1525)は維持されるため、単独の控訴事件としての答弁書(Opening Brief)提出期限を「本命令の発行日から60日以内」と確定させた。
5. 実務上・判例上の法的なポイント
本決定は、CAFCにおける訴訟手続上の決定(Order)であり、実体法上の先例的価値(precedential value)を有しない非先例的決定(nonprecedential order)である。しかし、実務上以下の点に留意する必要がある。
- クロス控訴における取下げ手続の処理: 一方当事者が控訴を取り下げた場合でも、相手方のクロス控訴は自動的には消滅せず、裁判所により事件の併合が解除(deconsolidation)された上で、残存する控訴手続が継続する。
- ブリーフィングスケジュールの変更: クロス控訴の併合が解除された場合、残った控訴人のOpening Brief提出期限(本件では60日以内)が新たに設定されるため、当事者および法務担当者は取下げ命令発行後の進行管理・期限管理を厳格に行う必要がある。
- 費用負担に関する明記: 任意取下げを申し出る際、当事者間で「各自費用負担(each party to bear its own costs)」の合意を取り付けておくことが、スムーズな取下げ許可の獲得において重要となる。
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